精油を活用して生活をもっと豊かに。
知っておきたい香りと心身の関係、肌への働き
「精油」ってよく聞くけれど、実際どのようなものかと問われると説明まではできない・・・
なんて方も多いのではないでしょうか。
さまざまなシーンで目にする機会が増えた精油には、さまざまな働きが期待できます。今回は、中でも欠かせない要素・香りについて、また心や身体、肌にもたらす作用などを深堀して紹介します。
監修:アロマセラピスト 中野智美氏
そもそも「精油」とは?
「エッセンシャルオイル」とも呼ばれる精油は、植物の花・葉・果皮・果実・心材・根・種子・樹皮・樹脂などから抽出した素材。各部位からごくわずかしか採取できず、植物ごとに特有の香りと機能を持っています。
水蒸気蒸留法や圧搾法をはじめ、抽出方法もいろいろ。それぞれの植物・部位に合った抽出方法が用いられます。精油は熱や紫外線、温度変化に弱いため、抽出された後は遮光性のあるガラス瓶に入れられるのが一般的です。
肌のトリートメントや芳香浴、アロマバスなど、楽しみ方は無限大!日常に取り入れれば、生活がより豊かになるでしょう。
嗅覚は脳により速く伝わる。香りが脳にもたらす作用とメカニズム
香りを感じる嗅覚だけでなく、それぞれの感覚器から受けた刺激は脳に伝わって処理されます。五感の中でも、より速く脳に伝わると言われているのが嗅覚。
香りを構成する“におい物質”を嗅覚がとらえると、電気信号に変換されて脳に送られるという仕組みです。
嗅覚の信号が伝達される大脳辺縁系と呼ばれるエリアには、感情を呼び起こす扁桃体、記憶につながる海馬、そして自律神経系・免疫系などをつかさどる視床下部などが集結しています。
香りを活用して、リラックスできる空間を演出
視床下部と深く関わっている機能のひとつが、体内環境を一定の状態で保とうとする「ホメオスタシス」。自律神経が乱れるとホメオスタシスがうまく働かなくなり、心身のバランスが崩れやすくなります。
自分らしく充実した毎日を過ごすためには、日々の忙しさから離れて、リフレッシュできる時間が大切です。自分が心地よいと感じる香りを取り入れ、リラックスできる環境を整えることで、心身のバランスがとれた快適な時間を過ごしやすくなるでしょう。
精油は肌にも効能をもたらす。期待できる働きや使い方のポイント
肌にもうれしい作用をもたらす精油ですが、原液のまま塗るのはご法度。植物のエキスが凝縮されているので、そのままでは刺激が強すぎるためです。肌に使うときは、必ずホホバオイル・アルガンオイルなどの植物油などで希釈しましょう。
精油は油に溶けやすく水に溶けにくいので、植物油で希釈するとより肌になじみやすくなります。精油と植物油をブレンドしたトリートメントオイルでお手入れすれば、マッサージによる効果も得られて一石二鳥です。
希釈濃度は、ボディ用なら1%以下、フェイス用なら0.1~0.5%以下が目安。ただし肌質や体調、体質などによっては、このライン内でも肌に合わない可能性があります。まずは低めの濃度から始めるとよいでしょう。
なお精油の種類によって肌に与える作用はさまざまで、例えばラベンダーは肌荒れ防止、シダーウッドやクラリセージには収れんなどの働きが期待できます。ひとつの精油に複数のメリットがあることも珍しくありません。肌はもちろん心の状態にも意識を向け、心地よいと感じる香りの精油を試してみてはいかがでしょう。
まとめ
私たちの心身に深くかかわっている香り。精油の働きだけを意識するのではなく、自分が心地よいと感じる香りを選ぶことも大切です。心身、そして肌に向き合う一つの手段として、精油の力を借りてみませんか。
監修者プロフィール
アロマセラピスト 中野智美氏
英国ITEC認定アロマセラピスト、(公社)日本アロマ環境協会認定アロマセラピスト、同インストラクター、AllAboutアロマテラピーガイド、(一社)日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート。アロマテラピー&メンタルハーブティーのル・クール主催。伝統的アロマテラピーを軸に、香りのメンタル効用やボディートリートメントによる、おとなの女性の健康なライフスタイルのためのレッスン、トリートメントを実践。著書『1週間で合格! U-CANのアロマテラピー検定1級・2級 速習テキスト&問題集 第2版』(ユーキャン学び出版)。有限会社アール・アイ取締役社長。